英語のしくみメモ 2026.09
規則の記録。語彙は 英語学習ログ 2026.09 に分けてある。
綴り
名詞から作った動詞の -ed / -ing
名詞を動詞に転用しても、綴りは普通の動詞と同じ子音二重化の規則に従う。規則そのものは 英語のしくみメモ 2026.07 の「-ing の前の綴り変化」に書いた。
| 名詞 | 動詞の変化 | 理由 |
|---|---|---|
| gzip | gzipped, gzipping | 強勢のある「母音1つ + 子音1つ」で終わる → 子音を重ねる |
| spec | specced, speccing | 同上(spec'd / spec'ing も許容) |
| backtick | backticked, backticking | -ck で終わる → 重ねない |
✗ specing は spe-cing と読まれて母音が伸びる。子音を重ねるのは、直前の母音が短いことを綴りで示すため。
語法
名詞の動詞化と -ed 形容詞
英語では名詞をそのまま動詞として使い(conversion / zero derivation)、さらに -ed をつけて形容詞にすることにほとんど制約がない。技術英語では特に生産的で、辞書に載る前の語も日常的に作られる。
| 名詞 | 動詞 | -ed 形容詞 |
|---|---|---|
| a backtick | to backtick | backticked |
| bold | to bold | bolded |
| a flag | to flag | flagged |
| a diff | to diff | diffed |
| a spec | to spec | specced |
-ed 形容詞には出どころが2つあり、意味が違う。
| 型 | 由来 | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| ① 動詞から | to backtick → backticked | 〜された(受動) | backticked ids, gzipped files |
| ② 名詞から直接 | beard → bearded | 〜を持っている(所有) | a bearded man, a walled garden, a salaried employee |
②には対応する動詞がない(✗ to beard)。「〜された」と訳すと意味が通らない。a walled garden は「壁を持つ庭」で、「壁された庭」ではない。
出どころとは別に、「分布読み」がある。 形が①(動詞由来)でも、意味は「全体が丸ごとそうされた」ではなく「中に散らばっている」になることが多い。
| 表現 | 分布読み | ✗ 全体読み |
|---|---|---|
| a striped shirt | 縞が入ったシャツ | シャツが1本の縞 |
| a tiled floor | タイルが敷き詰められた床 | 床が1枚のタイル |
| a bulleted list | 各項目に中黒がついたリスト | リスト全体が1つの中黒 |
| a hyphenated name | ハイフンが入った名前 | 名前全体がハイフン |
| buttered toast | バターを塗ったトースト | バターに包まれたトースト |
| backticked prose | バッククォートが散らばる地の文 | 地の文全体が囲まれている |
分布読みになりやすい条件は2つある。
- 後ろが不可算名詞(mass noun) — salted water, wooded hills, backticked prose。ほぼ確実に分布読みになる。
- 名詞の前(attributive)に置かれている — 述語の位置に回すと全体読みに戻る。
| 形 | 読み |
|---|---|
| backticked prose(名詞の前 + 不可算) | 分布:中に散らばる |
| a backticked block(可算名詞) | 全体:そのブロックごと |
| The whole section is backticked.(述語) | 全体 |
| put the whole thing in backticks | 全体:前置詞句にする |
backticked は、形は①(動詞由来)なのに意味は②(所有)に寄る例で、①②の二分法だけでは説明しきれない。
日本語との対比: 日本語は分布を形容詞っぽく表すので、この曖昧さが表に出ない。「縞のシャツ」「バターを塗ったトースト」。英語は -ed 一語で「〜された」も「行き渡っている」も表し、どちらの読みかは名詞の可算性と語順で決まる。この読み分けの仕組みが、日本語話者には見えにくい。
もう一つ、日本語も「バッククォートする」のようにサ変で名詞を動詞にできるが、英語では語形を一切変えずに品詞だけが変わる。辞書に動詞として載っていないこともあるので、文中の位置で品詞を判断する。
what 節を見出しにする
what には疑問詞のほかに、「〜なこと・もの」という名詞のまとまりを作る用法がある(自由関係詞 / free relative)。目印は what = the thing(s) that と置き換えられること。先行詞を内に含んでいるので、前に名詞を置かない。
- I don't understand what he said. = …the thing that he said.
- What the audit turned up changed the plan. — 主語にもなる。
- ✗ the thing what he said — what が先行詞を内蔵しているので二重になる。
日本語との対比: 日本語の「〜こと/〜もの」に当たるが、日本語は名詞を後ろに置く(「彼が言ったこと」)のに対し、英語は what が前に来て節全体を名詞にする。語順が逆なのが躓きどころ。
文の形をとらない見出し: 技術文書やレビューでは、この名詞節が主語も述語もないまま、見出しやラベルとして単独で置かれる。
textWhat changed. What we tried. What's still open. What speccing turned up beyond the issue.
最後の例は「仕様を詰める作業で、issue に書かれていた以上に判明したこと」。補えば (Here is) what speccing turned up beyond the issue. という文になる。文末のピリオドは「太字ラベル + 本文」という書式の慣習で、文だからついているのではない。読むときは「主語がない=不完全な文」ではなく、ラベルだと判断する。
同じ形を取る自由関係詞は where, when, how, whatever, whoever。How it failed matters more than when.
recently / lately と現在完了
recently / lately は「過去のある時点から今まで」を指すので、現在完了(have done)や現在完了進行形(have been doing)と組む。単純現在形とは基本的に組まない。
- ✓ We've been getting a lot of flaky tests lately.(今も続いている繰り返し → 完了進行形)
- ✓ The API has changed twice recently.(回数の積み重ね → 完了形)
- ✗ The API changes twice recently.
日本語との対比: 日本語の「最近よく〜する」は現在形(見る/使う/落ちる)なので、直訳して現在形にすると不自然になる。「最近」が出たら完了形を疑う。
単純過去と組む例外: 1回きりの出来事なら過去形でいい。I saw her recently.(先日会った)。ただし lately は単純過去と組みにくく、✗ I saw her lately. は不自然。recently のほうが融通が利く。
| 語 | 使いどころ |
|---|---|
| recently | 1回の出来事にも繰り返しにも使える。書き言葉でも普通 |
| lately | ほぼ繰り返し・継続専用。やや口語的 |
言い換え: these days は現在形と組める(We get a lot of flaky tests these days.)。前置詞はつけない(✗ in these days)。口語でいちばん自然なのは I keep -ing(I keep running into this error.)。
such that
/sʌtʃ ðət/ · SUCH dhut(強勢は such。that は弱形)
主節のあとに、満たすべき条件や結果の状態を続ける接続句。[主節] + such that + [条件・結果の節] の形を取る。用法は3つある。
| 用法 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 仕様・設定 | 〜となるように、〜という条件を満たすように | Configure the proxy such that unauthenticated requests are dropped. |
| 数学・論理 | 〜であるような(略記 s.t.) | Choose k such that the distribution stays uniform. |
| 程度・結果(硬い書き言葉) | 〜というほどに | The spike was such that the autoscaler tripled capacity. |
so that との違い: so that は人の意図や目的(〜するために)。such that は意図を外して、システムが満たすべき客観的な条件を述べる。仕様書やレビューで受け入れ条件や不変条件を書くなら such that が正確。
- We added a cache so that users get faster responses.(目的)
- Shards are placed across three zones such that losing one zone doesn't break quorum.(満たすべき条件)
よくある誤り:
- ✗ Configure the proxy that only authenticated users can access. — 主節と条件をつなぐ語がない。
- ✗ Tune the database in order to it handles 10,000 QPS. — in order to の後ろに主語つきの節は置けない。
- ✓ Tune the database such that it handles 10,000 QPS.
日本語との対比: 日本語ではどちらも「〜ように」で済むので、目的(so that)と条件(such that)の区別が文の形に出ない。英語では語が分かれる。